【創刊号】変化の激しいこの時代に、私たちが「あえて地理を学ぶ」本当の理由

「地理って歴史の陰に隠れがち…」「暗記科目でしょ?」そう思っている方にこそ読んでほしい。実は地理は、複雑なニュースや日常の解像度を劇的に上げる「最強のレンズ」なのです。現役教師が最初の授業で必ず伝える「あえて地理を学ぶ3つの理由」とは?
地理おた部 2026.06.01
誰でも

こんにちは。地理おた部です。

今日から新しく、この場所でニュースレターを配信することになりました。

記念すべき第1回目のテーマは、「いろいろ学ばなければならない時代に、あえて地理を学ぶ理由」です。

いま、教育の業界はグローバル化や多様化の波に追われ、凄まじいスピードで変化しています。

かつてのような「先生が黒板の前に立ち、チョーク1本でひたすら喋る(チョーク&トーク)」授業は過去のものになりつつあります。教室にはプロジェクターやパワーポイントが導入され、授業プリントはデジタル化され、生徒たちはタブレット端末で課題を提出する時代です。一斉授業だけでなく、AIが一人ひとりに合わせて個別最適化した動画授業などもどんどん取り入れられています。

学ぶ中身も一変しました。新しく「情報」の授業が増えて共通テストの必須科目になったり、英語は小学校から学ぶようになったり。私たちが小中高と過ごした頃の教育内容とは大きく異なり、現代の子どもたちが学ぶ量も、その深さも、圧倒的に増しています。

そんな「あれもこれも学ばなければならない」忙しい時代に、私たちはなぜ、あえて「地理」を学ぶ必要があるのでしょうか。

正直なところ、地理は最初から愛されているわけではない

少し冷徹な話をします。

同じ地歴公民科のなかでも、「歴史」には強い味方がたくさんいます。「グローバル社会だからこそ、国家の成り立ちを知るために歴史を学びたい」という真面目な動機から、「歴史のロマンが好き」「漫画やゲームのキャラクターから興味を持った」という熱烈なファンまで、歴史は最初から一定の人気があります。

しかし、地理にはそれがほとんど当てはまりません。

私が新学期の最初の授業で、生徒たちに「地理が好きな人?」と聞いても、手を挙げるのはほんの少数です。地理の好きなところを聞いてみると、「歴史の暗記が苦手だから」「なんとなく暗記が少なそうだから」といった、ちょっぴりネガティブな理由も少なくありません。

共通テストが終われば、多くの人が地歴公民科の教科書を閉じ、そのまま遠ざかっていきます。

数あるニュースレターの中から、あえてこの「地理」というテーマを選び、この記事を開いてくださったあなたに、まずは心から感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございます。

では、なぜ地理を学ぶのか。

ここからは、私が毎年、高校生たちに向けて最初の授業で話している「地理を学ぶ3つの理由」を、大人である皆さんにもお話ししたいと思います。

① 地理的な「見方・考え方」がつくと、世の中がもっと面白くなる

地理とは、単に国名や特産品を丸暗記するだけの「暗記科目」ではありません。

いま目の前で起きている時事ニュース、世界の紛争、円安、スーパーの物価高。それらすべてが、実はその土地の「地形」「気候」「資源」といった、地球の変わらない土台(メカニズム)と深く結びついています。

地理というレンズを手に入れると、今までただ流し見していただけのニュースや日常の風景が、「あ、だからここでこれが起きているのか!」と繋がり始めます。バラバラだった世界が一本の線で繋がっていく、知的な謎解きの面白さがここにはあります。

② 世の中が面白くなると、生活が変わる

世界の見え方が変わると、あなたの毎日の生活、特に「行動」が変わります。

週末の旅行で車窓から山を眺めるとき、スーパーの陳列棚で野菜やワインの産地を見るとき、あるいはふと近所の坂道を歩くとき。地理の知識があるだけで、「なぜここにこの街ができたのか」「なぜこのワインはここでしか作れないのか」を足元から実感できるようになります。退屈だったはずの日常の解像度が劇的に上がり、毎日の暮らしや休日が、驚くほど豊かでワクワクするものに変わっていきます。

③ 見方が変わると、「味方(みかた)」が増える

これが、私が一番伝えたいことです。

SNSがあふれる現代、私たちはネット上のデマや、断片的な情報による「〇〇の国はおかしい」「あの文化は信用できない」といった偏見に踊らされがちです。

しかし、地理を学び、「その土地の自然環境や歴史的背景があるからこそ、彼らはその文化や行動を選んでいる」という論理的な理由を知ると、他者への見方が変わります。「違う=間違っている」ではなく、「違う=そういう背景があるんだな」と想像できるようになるのです。世界に対する解像度(見方)が上がれば上がるほど、無意識の偏見が消え、自分自身の世界を広げてくれる理解者(味方)が増えていきます。

一緒に、大人の「地理総合」を始めましょう

学校の授業からは遠ざかってしまった大人にこそ、この「地理という最強のレンズ」が必要です。

このレターでは、現役教師である私が「地理おた部」として、X(旧Twitter)の140字ではどうしても語りきれなかった深い背景や、クスッと笑えて日常に役立つ地理の思考法を、週3回(月・水・金)のリズムでお届けしていきます。

月曜: 1週間の視界をクリアにする「基礎知識(メカニズム)」

水曜: 最新の時事問題を地理で解剖する「ニュースの読み方」

金曜: 不定期の内容(その都度気になった出来事などを記事にしていきます。)

難しい専門用語や暗記は一切いりません。

見方が変われば、世界が変わる。

ぜひ、私たちと一緒に「大人の地理総合」を楽しんでいきましょう!

これからどうぞ、よろしくお願いいたします。

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