帰省ラッシュを操る「見えない地図」と「休みの地理」
「別の日に帰れば?」が通じない理由
こんにちは。地理おた部です。
毎年、お盆の時期になると同じ光景を目にします。
高速道路の渋滞。
混雑する新幹線。
大きな荷物を持った人でいっぱいになる駅や空港。
そして毎年のように、
「混雑する日時を避けて移動しましょう」
と言われます。
ここで、一つ疑問があります。
混む日が分かっているのに、なぜ帰省ラッシュはなくならないのでしょう。
「そんなに混むなら、別の日に帰ればいい」
確かに、その通りにも聞こえます。
でも、日本の休みを地理から見ていくと、少し違う姿が見えてきます。
道路の上を走っているのは車です。
けれど、その車を同じ日に動かしているものは、道路の中だけにはありません。
そこには、
地図には描かれない「もう一つの地図」
があります。
帰省する日は、本当に「自分で選んだ日」なのか
旅行なら、
「この日は高いから翌週にしよう」
「混みそうだから平日にしよう」
と日程を変更できる人もいるでしょう。
では、帰省はどうでしょう。
自分の休みがあります。
家族の休みがあります。
子どもの予定があります。
帰省先にいる家族の予定もあります。
親族が集まる日もあります。
たとえば、自分だけなら10日でも15日でも帰れる。
でも、家族全員がそろうのは13日しかない。
そんな状況なら、13日を選ぶでしょう。
その人は、
「13日に帰省したい」
と思って選んだのでしょうか。
それとも、
「13日しか選べなかった」
のでしょうか。
ここには、大きな違いがあります。
カレンダーにも「交通量」が書かれている
高速道路の渋滞を見るとき、普通は道路地図を見ます。
どこに高速道路があるのか。
どこにインターチェンジがあるのか。
どこで道路が合流するのか。
月曜日の記事では、そうした「場所」が渋滞をつくる仕組みを考えました。
でも帰省ラッシュを理解するには、もう一枚必要なものがあります。
カレンダーです。
会社が休みになる日。
学校が休みになる日。
祝日。
地域の行事。
家族が集まる日。
一人ひとりは別々に暮らしていても、こうした日が重なると、
普段はバラバラに動いていた人たちが、突然同じ方向へ動き始めます。
つまりカレンダーには、
数字としては書かれていなくても、
「この日は人が動きやすい」
という情報が隠れています。
道路地図にはない交通量が、社会のカレンダーには書かれているのです。
車の後ろに「仕事」「学校」「家族」が乗っている
渋滞している高速道路を上から見れば、
車がずらっと並んでいるだけです。
でも、その一台一台に理由があります。
この日まで仕事だった。
この日から休める。
子どもの予定がこの日しか空いていない。
家族全員がそろうのが今日だった。
親族が集まる。
翌日には仕事へ戻らなければならない。
そう考えると、
一台の車の後ろには、
仕事。
学校。
家族。
生活。
さまざまなものが見えてきます。
つまり帰省ラッシュは、
何万人もの人が偶然、同じ日を選んだ現象ではない
のです。
人の予定を決める社会の仕組みが重なった結果、同じ日に大量の移動が生まれています。
道路を流れている車だけを見ていては、それは見えません。
私が「見えない地図」と呼びたいのは、こうしたものです。
「お盆だから」という時間の地理
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