新幹線ができても都市は「1cm」も近づかない
「100kmより50kmの方が遠い」不思議な地理パラドックスを解読する
こんにちは。地理おた部です。
突然ですが、問題です。
A地点まで100km。B地点まで50km。どちらが遠いでしょうか。
普通なら、100km先のA地点ですよね。
では、条件を一つ加えます。A地点までは高速道路を使って1時間。B地点までは一般道と山道を通って2時間。
さて、遠いのはどちらでしょう。
地図の上ではA地点の方が遠い。でも、私たちの生活の中ではB地点の方が「遠い」。
こんな逆転が起こることがあります。
今週は、お盆の移動を地理から考えてきました。月曜日は「なぜ高速道路では毎年似た場所が渋滞するのか」。水曜日は「なぜ混雑すると分かっているのに、人は同じ日に動くのか」。
そして金曜日。最後に考えたいのは、もっと根本的な問いです。
そもそも「遠い」とは、何なのでしょうか。
地図に書かれた距離だけが「距離」ではない
私たちは「距離」と聞くと、kmを思い浮かべます。10km、100km、500km。数字が大きいほど遠い。とても分かりやすい尺度です。
でも、人間は地図の上を自由に一直線で移動しているわけではありません。山があり、川があり、海があります。そして道路や鉄道があり、そこを移動するには時間がかかります。
だから、人が感じる「遠い・近い」を考えるには、kmだけでは足りません。
今日は距離を、直線距離・移動距離・時間距離という三つの視点から見てみます。
① 直線距離 地図の上ではどれくらい離れている?
まずは直線距離です。二つの地点を地図の上でまっすぐ結んだ、もっとも単純な距離です。場所と場所が空間的にどれくらい離れているかを比較するときには便利です。
ただし、人間は普通、その線の上をそのまま移動できません。山があれば迂回することがあります。川があれば橋のある場所まで行かなければならない。海峡なら橋やトンネル、船などが必要になります。
つまり、
「地図では近い」と「実際に行きやすい」は別の話です。
② 移動距離 道をたどると距離が伸びる
次は、実際に道路や鉄道を使って移動する距離です。
たとえば直線では50kmしか離れていなくても、道路が山を迂回していれば、実際には70km、80kmと移動するかもしれません。
ここで地図を少し広く見てみると、道路がなぜそこを通っているのかも見えてきます。川に沿っている。谷を通っている。峠を避けている。橋のある場所に道が集まっている。
道路の形には、地形との関係があります。
一方で、人間は自然条件をそのまま受け入れてきただけではありません。トンネルを掘り、橋を架け、高速道路をつくってきました。
つまり自然が交通を決めるだけではなく、人間もまた「遠さ」を作り替えてきたのです。
③ 時間距離 私たちは「何km」より「何時間」で遠さを感じる
ここからが今日の本題です。
帰省について話すとき、「実家まで250kmあります」よりも、「車で4時間くらいです」と表現することはないでしょうか。
私たちの生活の中で感じる「遠さ」は、kmよりも何時間かかるかに左右されることがあります。
そこで出てくるのが「時間距離」という見方です。二つの場所を物理的な距離だけではなく、移動に必要な時間で見ます。
100km離れていても1時間。50kmしか離れていなくても2時間。
そうなると、空間では50kmの方が近いのに、時間では100kmの方が近いという逆転が起こります。
ここで、一つ不思議なことが起きます。
新幹線ができても都市は「1cm」も近づかない
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