ドローンで追う? AIカメラで見つける? 「アーバンベア対策」が変わり始めた
月曜日の記事では、クマが街へ出てくる理由を「山に食べ物がないから」だけで説明しない、という話を書きました。
山から住宅地へ続く河川。
河畔林。
耕作放棄地。
公園や緑地。
放置された果樹。
そうした場所がつながることで、クマにとっての移動ルートができることがあります。
では、そのルートを通ってクマが人の生活圏へ入ってきたら、どうするのでしょう。
ここでも、対策が変わろうとしています。
10月30日、環境省は「市街地等におけるクマ対策に係る技術導入実証事業」の参加団体を発表しました。
応募は56件。
その中から10団体が選ばれました。
使われるのは、ドローン、カメラ、アプリなどです。
少し前までなら、
「クマ対策にドローン?」
と思ったかもしれません。
でも実証内容を見ていくと、なぜこうした技術が必要とされているのかが見えてきます。
一番難しいのは「クマがいる」と気づくこと
市街地にクマが出たとします。
最初に必要なのは何でしょう。
捕まえることでも、追い払うことでもありません。
まず、
「クマがそこにいる」と知ること
です。
誰かが目撃する。
通報する。
情報が自治体へ届く。
警察や関係者が場所を確認する。
そこから対応が始まります。
ところが、クマは人が見ている場所だけを歩くわけではありません。
夜間。
藪の中。
河川敷。
住宅地の裏側。
山際。
人の目が届きにくい場所も移動します。
月曜日に見た「山と町をつなぐルート」は、同時に人から見えにくいルートでもあります。
だから、カメラやセンサー、ドローンを使って監視するという発想が出てきます。
カメラがあればいい、ではない
ここで地理的な問題が出てきます。
監視カメラを1台買った。
では、どこに置けばいいでしょう。
市役所の前でしょうか。
住宅街の中心でしょうか。
山の中でしょうか。
どこにでも置けばいいわけではありません。
クマが通りそうな場所に置く必要があります。
たとえば、
山から続く河川沿い。
森林と住宅地が接する場所。
藪や緑地が続く場所。
過去に出没が集中している場所。
つまり、機械を置く前に必要なのは、
クマがどこを通る可能性があるのかという地図
です。
カメラがどれだけ高性能でも、クマが通らない場所を映していたら意味がありません。
技術を使うほど、むしろ地理が重要になります。
AIカメラは何を変える?
普通のカメラなら、映像を誰かが確認しなければなりません。
何十台、何百台と増えれば、すべてを見るのは大変です。
そこで出てくるのがAIです。
撮影された映像から動物を検知し、クマらしい対象が映ったときに通知する。
そうすれば、人がずっと画面を見続けなくても、異常に気づける可能性があります。
今回選ばれた実証の中にも、AIカメラやアプリを組み合わせた対策が含まれています。
ただし、AIが見つけてくれれば終わりではありません。
「クマを検知しました」
だけでは、住民はどうすればいいのか分かりません。
重要なのは、
どこで見つかったのか。
そして、
どちらへ動いているのか。
です。
ここから、情報は地図と結びつきます。
ドローンなら「点」から「動き」が見えるかもしれない
