「人口減少率ランキング」を授業で使わない理由 国勢調査の記事で私が削った“危ない読み方”
今週は2025年国勢調査を一週間追ってきました。
月曜日は、日本全体で人口が約309万7千人減った一方、世帯数は約129万4千増えたという逆転から始めました。
水曜日は都道府県へ縮尺を変え、大阪府では人口が約7万3千人減っているのに、世帯が約17万2千増えていることを見ました。
金曜日はさらに市区町村まで近づき、宮崎市でも人口が減る一方で世帯数が増えていることを確かめました。
三本を書き終えてみると、私の中に一つ残ったものがあります。
それは、今週の記事では意図的に使わなかった数字です。
一番簡単なのは「人口が減った町ランキング」だった
国勢調査から記事をつくるなら、もっと簡単な方法があります。
人口減少率の高い都道府県や市町村を並べればいい。
「人口が最も減った県はどこ?」
「5年間で人口が○%消えた町」
こういう見せ方なら、一瞬で意味が伝わります。順位も数字もあるので、記事のタイトルにも使いやすい。授業でも生徒の反応を引き出しやすいと思います。
私自身、記事を書く途中で何度も考えました。
ランキングにした方が、分かりやすいのではないか。
でも、最終的にはやめました。
なぜなら今週の数字を追えば追うほど、人口減少率だけで地域を並べることに違和感が大きくなったからです。
大阪府と宮崎県は、どちらも「人口が減っている地域」です。
でも大阪府では世帯数が4%以上増え、宮崎県では世帯数もわずかに減っています。
同じ「人口減少」という言葉でまとめられていても、中身は同じではありません。
さらに47都道府県すべてで、1世帯当たりの人数は減っています。
人口が減った。
世帯が増えた。
世帯も減った。
一世帯の人数が小さくなった。
これらを重ねて初めて、地域の変化が少し見えてきます。
だから私は、人口減少率だけを一列に並べた瞬間に、地域から大事な情報を一気に削ってしまうような感覚がありました。
私が一番怖かったのは、数字が「評価」に変わる瞬間
人口減少率は事実です。
でも、その数字をランキングにすると、いつの間にか別の意味がくっつくことがあります。
人口が増えた町=成功。
人口が減った町=失敗。
上位=元気。
下位=衰退。
もちろん国勢調査は、そんな評価をしていません。
それでも人は、順位を見ると無意識に「良い」「悪い」を読み込みます。
教師として国勢調査を扱うとき、私はここをかなり慎重にしたいと思っています。
数字は事実でも、数字の見せ方は中立ではありません。
そして今回、記事を書く途中で削ったのは、まさにこの部分でした。
ここから先は、今週の記事では書かなかった「なぜ削ったのか」と、私ならこの国勢調査を実際の授業でどう扱うかを書きます。


