「渋滞の先頭、何もない?」事故も工事もなく車を止める“見えない坂”「サグ」の正体
シルバーウィーク、車で出かけた人も多かったのではないでしょうか。
旅行帰りの高速道路。
電光掲示板には、
「渋滞20km」
の文字。
少し進んでは止まり、また少し進む。
ようやく流れ始めて、
「事故かな」
「工事かな」
と思いながら渋滞の先頭まで来てみると――。
何もない。
事故車もいない。
工事もしていない。
料金所でもない。
そのまま、何事もなかったかのように車が流れ始める。
「あの渋滞、いったい何だったの?」
そんな経験をしたことがある人もいると思います。
今年のシルバーウィークを前に、NEXCO各社などは9月19日から23日の5日間だけで、10km以上の交通集中による渋滞を全国で279回予測していました。
東海地方では最大50km、首都圏では最大45kmという予測も出ていました。
でも、高速道路の渋滞は事故や工事だけで起こるわけではありません。
NEXCO東日本管内の2024年のデータを見ると、発生した渋滞の約7割は「交通集中」によるものです。
そして、その交通集中による渋滞が起こる場所を調べると、
約6割が「上り坂」と「サグ部」でした。
サグ。
あまり聞き慣れない言葉です。
英語では「sag」。
高速道路では、下り坂から上り坂へ切り替わる、道路がゆるくへこんだような場所を指します。
問題は、この坂がとても分かりにくいことです。
高速道路は急にグイッと上るわけではありません。
景色を見ていると、ほとんど平らな道に見えることもあります。
ところが車は、下り坂から上り坂へ入っています。
ドライバーがそれに気づかないままアクセルを同じように踏んでいると、車の速度がほんの少し落ちることがあります。
100km/hが98km/hになる。
それくらいなら、一台だけなら何も起こらないでしょう。
でも、その後ろに何百台もの車が続いていたらどうなるのか。
ここから先では、たった一台のわずかな速度低下がなぜ長い渋滞へ育つのか、渋滞がなぜ「後ろ向き」に進むのか、そして事故も坂もない道路で本当に渋滞を作ってしまった日本の実験まで見ていきます。
渋滞は、車とは逆向きに進む
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