「エルニーニョ=冷夏」はなぜ外れたのか? 「教科書と逆」を起こした「もう一つの線」と空の地理

エルニーニョの夏は、日本で低温になりやすい。ところが2026年7月、日本の平均気温は7月として4番目の高さでした。予報が外れたのでしょうか。日本上空を走っていた「もう一つの線」を追うと、教科書と現実の違いが見えてきます。
地理おた部 2026.08.19
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月曜日の記事では、日本から何千キロも離れた赤道の海と、日本の空がどうつながっているのかを追いかけました。

海面水温が変わると、積乱雲が活発になる場所が変わる。その変化が大気の大きな流れに伝わり、遠く離れた日本の天候にも影響する。

「エルニーニョ」という言葉をただ覚えるのではなく、その途中にある仕組みまで見てきました。

まだ読んでいない方は、先にこちらを読んでいただくと、今日の話がよりつながります。

月曜日の記事

ところが、その記事を書いたあと、2026年7月の日本の天候を改めて見ていて、少し引っかかりました。

月曜日に見た話だけでは、どうも説明しきれないのです。

「エルニーニョの夏」と、2026年7月が合わない

エルニーニョ現象が起きている夏、日本ではどのような天候になりやすいのでしょうか。

気象庁が過去の事例を調べた結果では、西日本は低温、北日本・東日本も平年並みか低温になる傾向があります。

理由の一つが、上空を流れる亜熱帯ジェット気流です。

エルニーニョ時には、インドからフィリピン周辺の積雲対流が弱くなり、それに伴って日本付近の亜熱帯ジェット気流が平年より南寄りを流れやすくなります。太平洋高気圧の本州方面への張り出しも弱くなり、日本周辺に湿った空気が入りやすくなる。

その結果として、日本では夏の気温が低めになる傾向が現れます。これは「エルニーニョ=冷夏」と紹介されることがある背景です。

では、2026年7月はどうだったのでしょう。

日本の7月の平均気温は、平年より+1.66℃。

1898年の統計開始以降、7月として4番目の高温でした。

低温どころか、かなり暑い。

ここだけを見ると、

「エルニーニョなのに、おかしくない?」

と思います。

授業なら、たぶん誰かがこう聞くでしょう。

「先生、じゃあエルニーニョって当てにならないんですか?」

この疑問は、とても大切だと思います。

なぜなら、ここで「例外だった」で終わるか、「では何が重なっていたのだろう」と考えるかで、地理の見え方が大きく変わるからです。

そもそも「エルニーニョ=冷夏」ではない

まず、一つだけ整理しておきます。

「エルニーニョの夏は気温が低くなりやすい」というのは、

エルニーニョが起きれば必ず冷夏になる

という法則ではありません。

過去のエルニーニョ発生時を集めたとき、そのような状態になる割合が統計的に高かった、という「傾向」です。気象庁の資料も、「高い・低い」を確定的な予報として示しているのではなく、過去の発生時にどの階級が現れやすかったかを整理しています。

ですから、

「エルニーニョなのに暑かった」

イコール、

「予報が外れた」

ではありません。

むしろ面白いのは、その次です。

それなら2026年7月、日本では何がエルニーニョの典型的な影響を上回っていたのでしょうか。

気象庁の7月の資料をもう一枚めくると、そこに一本の「線」が現れます。

ここから先は、

  • エルニーニョは「天気を決めるスイッチ」ではない

  • 猛暑の日本上空を走っていた「別の線」の正体

  • ニュースの「○○だから」を一度だけ疑ってみる

といったテーマで、気象庁のデータから“複雑な空”を読み解きます。

この先を読めば、次にニュースで「エルニーニョ」という言葉を聞いたとき、その一言だけで天気を理解した気にならず、「ほかに何が重なっている?」と一歩先まで見られるようになるはずです。

エルニーニョは「天気を決めるスイッチ」ではない

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