バス停まで300m。それでも「交通空白」? 全国1720万人の“移動できない”を地図で測れない理由
家から300mほど歩いたところに、バス停があるとします。
地図を開けば、ちゃんとバス停のマークがある。路線も描かれている。
だったら、この場所は「公共交通が使える地域」と考えてよさそうです。
ところが、その300mがずっと坂道だったらどうでしょう。
さらに、バスは一日に数本。病院へ行きたい時間には走っていない。タクシーを呼んでも、なかなか来ない。
地図には交通機関があります。
でも、暮らしている人は移動できない。
実はこれ、私が考えた極端な例ではありません。
国土交通省が2026年に示した「交通空白」の考え方に、よく似た例がそのまま登場します。
バス停から300m以内でも、坂道が多く、高齢者にとって移動しづらい。タクシーも必要なときに配車されにくい。
そんな場所も「交通空白」になり得るというのです。
ほかにもあります。
鉄道駅から500m以内なのに、列車本数が極端に少なく、病院や学校へ行くのに使いづらい。
デマンド交通の区域には入っているのに、前日予約が必要で、朝夕には車が来ない。
どれも、地図の上には「交通」が存在しています。
それなのに、交通空白です。
ここに、この言葉のおもしろさがあります。
2026年に国土交通省が全国の市区町村を対象に行った調査では、何らかの対応が必要とされた「交通空白」は2,740地区。
そこに暮らす人口は約1,720万人でした。
日本の人口のおよそ13.9%です。
面積では約11万5700平方キロメートル。国土のおよそ31.4%に当たります。
「交通空白」と聞くと、山奥の集落にバスも鉄道もない景色を想像しがちです。
しかし、実際にはもっと身近なところにあります。
駅がある。
バス停もある。
それでも移動できない。
ここから先では、なぜ「駅まで○m」という地図だけでは交通の便利さを測れないのか、同じ場所でも人によって交通空白になったりならなかったりする理由、そして全国でいま何が変わり始めているのかを見ていきます。
「近い」と「使える」は、同じではない
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