停電は「森」の問題なの? 台風が去っても電気が戻らない理由と、見えない「復旧の地理」

台風25号が離れたあとも、9月23日朝の千葉県では約2万4千軒が停電していました。電柱や電線を直せば、すぐ元に戻りそうにも思えます。ところが復旧を遅らせるのは、電気設備だけではありません。倒木、土砂、道路、森。停電を地図でたどると、「電気の問題」だけではないことが見えてきます。
地理おた部 2026.09.30
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9月22日午前10時14分。

東京電力パワーグリッドは、台風25号の影響で、千葉県を中心に約4万8千軒が停電していると発表していました。

その時点で台風は関東から離れつつありました。

それでも、電気は一斉には戻りません。

翌23日の午前9時9分になっても、千葉県では約2万4030軒で停電が続いていました。

半分ほどまで減ってはいます。

でも、

「台風はもう遠くへ行ったのに、なぜまだ停電しているの?」

と思いませんか。

月曜日の記事では、雨が止んでも土の中や川には水が残り、災害の危険には「時間差」があることを取り上げました。

実は、生活が元に戻るまでにも別の「時間差」があります。

今回、東京電力パワーグリッドが停電の主な原因として挙げているのは、土砂崩れ、倒木、そして樹木が配電設備に接触したことです。

ここで少し意外なのは、

停電なのに、電気だけ見ていても復旧の速さは分からない

ということです。

電線の前に、木と土がある

停電と聞くと、私はまず「電線が切れたのかな」と考えます。

もちろん、それもあります。

強風で飛ばされたものが電線に当たる。

木が倒れて電柱や電線を壊す。

土砂崩れで電柱が倒れる。

こうしたことが起きれば、電気は止まります。

でも、壊れた設備を見つけたからといって、すぐ修理できるとは限りません。

例えば、道路の上に大きな木が倒れていたらどうでしょう。

その先に壊れた電柱があっても、作業車が入れません。

斜面が崩れていれば、安全を確認する必要があります。

電線に木が引っ掛かっていれば、電気の作業だけでなく、まず木を取り除かなければならないこともあります。

つまり復旧は、

電線を直す。

だけではありません。

現場へ行くための道路を確保し、木や土砂を取り除き、安全を確認して、ようやく電気設備を修理できる。

停電の地図の下には、道路の地図と森林の地図が重なっています。

そして、この関係は今回初めて分かったものではありません。

2019年の房総半島台風でも、千葉県では倒木が道路や電線をふさぎ、長期間の停電につながりました。

当時、東京電力の検証では、通常なら一つの配電線で事故箇所が1〜2か所程度のところ、10か所を超える損傷が見つかった場所もあったとされています。

一つ直したら終わりではない。

一本の線の先で、次の損傷が見つかる。

これでは時間がかかります。

今回の被害を2019年と同じだと言うことはできません。

台風の強さも、壊れた設備も、場所も違います。

ただ、「なぜ停電復旧に時間がかかることがあるのか」を理解する上では、過去の経験が大きなヒントになります。

電気は「電線」だけ直せば戻るわけではない

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続きは、2222文字あります。
  • 千葉の停電を「森の問題」として見る
  • 電柱をなくせば解決する?
  • 停電情報を見るとき、地図を一枚増やしてみる

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