停電は「森」の問題なの? 台風が去っても電気が戻らない理由と、見えない「復旧の地理」
9月22日午前10時14分。
東京電力パワーグリッドは、台風25号の影響で、千葉県を中心に約4万8千軒が停電していると発表していました。
その時点で台風は関東から離れつつありました。
それでも、電気は一斉には戻りません。
翌23日の午前9時9分になっても、千葉県では約2万4030軒で停電が続いていました。
半分ほどまで減ってはいます。
でも、
「台風はもう遠くへ行ったのに、なぜまだ停電しているの?」
と思いませんか。
月曜日の記事では、雨が止んでも土の中や川には水が残り、災害の危険には「時間差」があることを取り上げました。
実は、生活が元に戻るまでにも別の「時間差」があります。
今回、東京電力パワーグリッドが停電の主な原因として挙げているのは、土砂崩れ、倒木、そして樹木が配電設備に接触したことです。
ここで少し意外なのは、
停電なのに、電気だけ見ていても復旧の速さは分からない
ということです。
電線の前に、木と土がある
停電と聞くと、私はまず「電線が切れたのかな」と考えます。
もちろん、それもあります。
強風で飛ばされたものが電線に当たる。
木が倒れて電柱や電線を壊す。
土砂崩れで電柱が倒れる。
こうしたことが起きれば、電気は止まります。
でも、壊れた設備を見つけたからといって、すぐ修理できるとは限りません。
例えば、道路の上に大きな木が倒れていたらどうでしょう。
その先に壊れた電柱があっても、作業車が入れません。
斜面が崩れていれば、安全を確認する必要があります。
電線に木が引っ掛かっていれば、電気の作業だけでなく、まず木を取り除かなければならないこともあります。
つまり復旧は、
電線を直す。
だけではありません。
現場へ行くための道路を確保し、木や土砂を取り除き、安全を確認して、ようやく電気設備を修理できる。
停電の地図の下には、道路の地図と森林の地図が重なっています。
そして、この関係は今回初めて分かったものではありません。
2019年の房総半島台風でも、千葉県では倒木が道路や電線をふさぎ、長期間の停電につながりました。
当時、東京電力の検証では、通常なら一つの配電線で事故箇所が1〜2か所程度のところ、10か所を超える損傷が見つかった場所もあったとされています。
一つ直したら終わりではない。
一本の線の先で、次の損傷が見つかる。
これでは時間がかかります。
今回の被害を2019年と同じだと言うことはできません。
台風の強さも、壊れた設備も、場所も違います。
ただ、「なぜ停電復旧に時間がかかることがあるのか」を理解する上では、過去の経験が大きなヒントになります。
